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「仙台松井ビル」ZEB Readyの達成 持続し続ける企業の取り組み

松井建設株式会社
東北支店

総務部副部長 小林 淳

松井建設株式会社
東北支店

建築部設備課 加藤 公彦

取組および設備導入概要

貴社の事業と設備導入/更新を実施したビルについて教えてください

弊社は1586年の創業で、今年で439周年となります(2025年時点)。元々は社寺建築が専門であり、そこで培った技術や経験を活かし、総合建設業として事業を行っています。本ビルは、平成8年に購入し東北支店事務所として利用していましたが、事務所を移転したため、現在はテナントビルとして運用しています。

貴社で取り組んでいる環境に配慮した企業活動について教えてください

当社の歴史は、社会の持続的な成長・発展とともにあります。特に建設業は、事業そのものがSDGsと深く関わっています。建設時のCO2排出量の削減や建設副産物の削減の取り組みはもちろんのこと、太陽光発電・オンサイトPPAモデル事業も行い、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。

実施した設備導入/更新の概要を教えてください

全フロアの照明400台程度を人感センサー機能等の制御機能付きのLED照明に、一部のエアコンを、省エネ仕様のエアコンに更新しました。共用部分は平日や夜間に工事を行えましたが、テナント部分はテナント様の営業に支障がないよう休業日(土日)に改修工事を実施する「使いながら改修」を実施しましたので、工事期間は通常より多く要しましたが、無事に必要な設備更新を行うことができました。また今回の改修工事と令和9年度予定の改修工事により、ZEB Readyの達成を予定しています。

仙台松井ビルの外観

設備導入/更新の背景・経緯

設備を導入/更新した経緯・背景を教えてください

弊社は、一企業としてサスティナビリティ、SDGsに積極的に取り組むべきという認識のもと、保有不動産の電気設備については可能な限り100%再エネ由来電力の使用を推進しており、また、更なる取り組みとして、省エネ設備への更新を検討してまいりました。

2025年度の省エネ法改正により、原則として全ての新築建物が省エネ基準に適合することが必要となり、弊社としては、総合建設会社として環境に配慮した取り組みの求めに応えるべく、本ビルをZEB化することで貢献する想いがありました。

また当ビルの照明が旧タイプ(蛍光灯)であったため、テナント様から照明更新の要望が非常に多くあったことも1つの理由です。

弊社のこれらの思惑と東北電力様の「よりそう、再エネ電気」の制度が合致し、今回当該制度を採用させていただくこととなりました。

設備導入/更新の効果

設備導入をしたことによりどのような効果・反響があったか教えてください

入居しているテナント様から、「照明が明るくなり快適になった」、「業務効率が高まる」といった反響をいただきました。また、設備導入によってビルの環境が改善されたため、テナント様の入居率向上につながることを期待しています。

複数のテナントが入居するビルでの設備導入/更新にあたって、どのように各テナントに協力を要請しましたか?反対の声はありませんでしたか?

もともとテナント様からのご要望として照明設備の更新があがっていたこともあり、テナント様には全面的なご協力をいただきスムーズに更新することができました。テナント部分はテナント様の休業日に更新工事を実施するとはいえ、トラブルに繋がることが無いよう、工事内容や時間、工事箇所等については事前に周知することを徹底し、細心の注意を払い実施しましたので、テナント様からも大変お喜びの声を頂戴しております。

設備導入の課題・対応策

設備導入/更新にあたって苦労されたことを教えてください

弊社としては以前より設備の更新を検討していたこともあり、費用面を含めて概ね順調に社内調整が行えましたが、その一方で、設備更新によりビルがZEB基準を達成できるか検証することが課題でした。今回のZEB改修にあたっては、まず省エネ診断を実施し、その結果を基にどの設備を更新することでZEB基準を達成できるのかを綿密に検証できたことが、ZEB基準達成の実現につながりました。

今後の展望/導入を検討している人へのメッセージ

他の所有ビルへの展開について検討していましたら教えてください

今回の「使いながら改修」のノウハウを社内で共有し、他の所有ビルへの展開も進めていきたいと考えています。

ビルが位置している定禅寺通エリアで、ビルのZEB改修が複数実施されていますが、今後どのような変化を期待しているか教えてください

建物をZEB化しても、見た目からはわかりません。ただ定禅寺通の再整備と合わせて、立ち並ぶビルの環境への取り組みもアピールすることで、エリアのイメージアップと活性化に繋がっていければ良いと考えており、環境配慮型のビルが広がっていくことを期待しています。

導入を検討している人へのメッセージをお願いします

昨今の猛暑など環境問題が深刻化するなかで、環境に配慮した取り組みは企業にも求められています。環境への負荷を軽減することは、エネルギーコストの削減に繋がり、自社の事業や経営を持続するうえでも必要です。ご苦労されることは多いと思いますが、ビルを使用するテナント様からも喜ばれる「使いながら改修」に是非取り組んでもらいたいと思います。

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取材日:2025年5月26日

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